研究概要 |
染色体上で致死遺伝子の近傍に存在する塩基配列は,致死遺伝子のクローン化をはじめとする分子レベルの解析の基礎となる。下記の方法でゲノムの解析を行った。 1.第22連関群における形質地図と分子地図の重ね合わせ:RAPD連関地図とRFLP連関地図から形質地図の第22連関群に相当する連関群を同定し,交配実験によってそれら3者を統合して一本の地図とした。そこには致死遺伝子skuも含まれる。 2.休眠ホルモン-PBAN遺伝子のマッピング:交配実験により,同遺伝子を第11連関群-2.5cMへマップした。 3.形質地図と分子地図における連関群の対応付け:交配実験により,形質地図の第7連関群,第13連関群,第18連関群の三つに相当する連関群をRAPD地図の中から同定した。この中には,0bsなどの致死遺伝子が含まれる。 4.性染色体上の塩基配列の決定:正逆交雑で差異を示す伴性遺伝をするRAPDについて,塩基配列の決定やコピー数の推定を行った。カイコの性染色体の塩基配列としては始めての報告である。 5.第7染色体上の塩基配列の決定:形質地図の第7連関群の上のいくつかのRAPDについて塩基配列を決定した。 6.アリルフォリン遺伝子の分子進化に関する理論的解析:同義置換と非同義置換を区別することで,系統進化におけるアリルフォリン遺伝子の挙動をより正確に把握できた。 7.エリサンとサクサンのヘキサメリン遺伝子の転写制御:ヘキサメリン遺伝子の性特異的・発育段階特異的な発現が,いかなる機構で制御されるかをメソプレン投与などで解析した。 8.産卵行動と寿命を制御する遺伝子:xu20系統に見られる産卵行動と寿命の異常が,第29RAPD連関群の上の因子で制御されることが明らかになった。 9.カイコ核多角体病ウイルスの変異株の解析:不整形や立方体の多角体を作る変異株のポリヘドリン遺伝子を解析し,アミノ酸置換を解明した。
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