研究分担者 |
山口 峰生 水産庁南西海区水産研究所, 赤潮環境部, 主任研究官
古澤 巌 京都大学, 農学部, 教授 (10026594)
吉永 郁生 京都大学, 農学部, 助手 (40230776)
左子 芳彦 京都大学, 農学部, 講師 (60153970)
内田 有恆 京都大学, 農学部, 助教授 (50027190)
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研究概要 |
本研究は渦鞭毛藻Alexandriumの生産する麻痺性貝毒の生合成に関わる遺伝子を解明し,貝毒の防止のための方策を立てることを目的として行なう。本年度の研究実績の概要は下記の通りである。 1)雌雄異株であるAlexandrium tamarenseおよびA.catenellaからそれぞれ雑種第1代(F1)を得て,麻痺性貝毒の成分組成(STXnやGTXn)を表現型形質として親株のそれと比較し貝毒伝達がメンデルの法則によることを明らかにし,本貝毒の生合成に関与する系が染色体にあることをつきとめた。 2)A.catenellaおよびA.tamarenseの代表株の大量培養を行ない,細胞を破砕後粗酵素液を作り,STXを基質として反応させ,その反応産物をHPLC蛍光分析にて測定した。その結果,A.tamarense151株の粗酵素系の反応でSTXからGTX5が検出された。このほか未同定のピークが検出された。この粗酵素液は脂質(渦鞭毛藻特有)などがHPLCを妨害することから粗酵素液の前処理の検討を種々行ない,アセトン粉末および透析一硫安分画のいずれも一長一短であり,さらに検討が必要となった。 3)A.catenellaおよびA.tamarenseの大量培養を行なって藻体を集め,核DNAの分離・精製を行なった。渦鞭毛藻のDNA抽出は他の真核生物や原核生物と異なり,抽出の際,多糖,脂質の除去が困難で,試行錯誤を重ねた末に確立された。 4)A.catenellaおよびA.tamarenseからSTXやGTX欠損突然変異株を作成するために,紫外線照射,エチレンブロマイド,5-ブロモウシシル,ニトロリグアニジンを使用した。その結果,紫外線照射によって親株の麻痺性貝毒の成分組成と異なる突然変異株1株を得たが,今後,多くの分離を必要とする。
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