研究分担者 |
浜田 博司 東京大学, 医学部, 助教授 (00208589)
久和 茂 東京大学, 医科学研究所, 助手 (30177943)
伊庭 英夫 東京大学, 医科学研究所, 助教授 (60111449)
岩倉 洋一郎 東京大学, 医科学研究所, 教授 (10089120)
佐藤 英明 東京大学, 医科学研究所, 助教授 (80093243)
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研究概要 |
本年度はマウス初期胚を用いて培養条件と遺伝子発現との関係について重点的に研究した。まず、受精の制御について種々の条件を検討し、卵丘除去卵子への精子の侵入が培地中のカルシウム濃度を高めることによって有意に上昇すること、およびこの効果は精子の受精能獲得のための前培養時間と関係することを明らかにした。さらにY染色体に部分的な欠失を持つマウスの精子の低い受精能力が精子を精漿から分離することによって著しく高まることを見出した。これらの成条は初期発生の開始点となる受精のより正確な制御を可能にするものと期待される。一方初期胚の培幼条件については培地中へのEDTAおよびスーパーオキサイドジスムターゼの添加が胚発生を有意に改善すること,およびその効果は胚の遺伝子型,とくに卵子提供雌の遺伝的性質に大きく依存することを明らかにした。 遺伝子発現との関連については、まずマウスのメタロチオネインI遺伝子のプロモーター/エンハンサー飲域の下流に大陽菌のベータガラクトシダーゼの構造遺伝子を連結したレポーター遺伝子(MT-haLZ)を構等し、これをマウス受精卵の前核へ顕微注入して、各発生段階における発理をX-galを基質とする組識化学的方法により検討した。その結果、0,05.0.5および5ng/pl(それぞれおよそ10.100,および1000コピー/plに相当)の各濃度における注入胚の胚盤胞への発生率には有意差はなく,4細胞期における発現率は濃度依存的に場加し、5ng/ul区で60%に達することが明らかになった。また、発現型は多くの胚んおいて割球間でモザイク状であった。これらの結果から、本研究で用いた遺伝子が初期胚における遺伝子発現の制御機構を追跡するためのレポーター遺伝子として適していると考えられた。
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