研究分担者 |
浜田 博司 東京都臨床医学総合研究所, 部長 (00208589)
久和 茂 東京大学, 医科学研究所, 助手 (30177943)
伊庭 英夫 東京大学, 医科学研究所, 助教授 (60111449)
岩倉 洋一郎 東京大学, 医科学研究所, 教授 (10089120)
佐藤 英明 東京大学, 医科学研究所, 助教授 (80093243)
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研究概要 |
1.PCR法によるマウス初期胚の性判別と発生速度における性差の検討 体外受精に由来するC57BL/6Nマウス胚について、Y染色体上の遺伝子であるZfyの塩基配列を特異的に増幅することによって、正確な性の判定ができることを確認し、この方法を用いて桑実胚から胚盤胞への発生時期と胚の性との関係を検討した。その結果、速、中間、遅胚における雄胚の比率はそれぞれ、76.9,52.2,42.3%であり、発生速度の早い胚において雄胚の割合が有意に高く、一方、発生速度の遅い胚では雌胚が有意に多いことが明らかになった。この性比の偏りは、胚移植実験によっても確かめられた。これらの結果は、個体発生過程における性の分化が、生殖腺の分化に伴う二次的なものであるとの従来の見解と異なり、その遥か以前の初期胚において既に表現されていることを示すものである。 2.卵成熟過程におけるプロトオンコジーン産物の発現の解析 マウスの卵母細胞の発育および成熟過程におけるプロトオンコジーン(v-H-ras,c-fos,c-jun,c-myc,N-myc,c-neu,c-fms,c-abl,v-fes,v-src)産物の発現をABC法により免疫組織化学的に検索し、c-fos,c-myc,N-myc,c-fms,v-src,c-abl,v-fes産物の発現を認め、特に卵母細胞の成熟過程でc-fosが強く発現していることを明らかにした。抗c-fosモノクローナル抗体陽性反応は、グラーフ卵胞内の卵核胞崩壊を起こしている卵母細胞およびその周辺の卵丘細胞に最も強く認められ、一方、顆粒膜細胞、卵胞膜細胞および結合組織細胞には検出されなかったので、卵母細胞における減数分裂の進行に関与しているものと推定された。
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