研究課題/領域番号 |
04404019
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研究機関 | 北海道大学 |
研究代表者 |
藤田 正一 北海道大学, 獣医学部, 教授 (10143314)
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研究分担者 |
升田 真木彦 北海道大学, 獣医学部, 助手 (00001719)
数坂 昭夫 北海道大学, 獣医学部, 助教授 (00002113)
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キーワード | 動物種差 / 異物代謝 / P-450 / 解毒酵素 / 老化 / 発癌 / 発生動物 / 環境汚染 |
研究概要 |
異物代謝の動物種差の検出に有用な反応を検索し、これを用いて、種々の動物の肝ミクロソームの代謝活性を調べ、環境汚染物質に対する適応性の種差、年齢差などを検討することを本年度の目的とした。 (1)Propranolol代謝の基質立体選択性及び、代謝部位選択性の解毒酵素P-450分子種による違いを調べた。異なるP-450分子種は異なる選択性を示し、また、その選択性は基質濃度によっても異なった。これらのことからpropranololはP-450分子種の特性を調ベる上で有用な基質であることが示された。 (2)低濃度のpropranololを基質として用いた場合、ラットの肝臓でpropranolol7位水酸化体は主代謝物の一つであるが、イヌ、クマ等では7位水酸化体生成が欠損していた。 (3)イヌ科のイヌ、ミンク、クマ、キツネの肝ミクロソームを用いて、P-450 2Dの活性の指標としてbunitrolol代謝活性を測定したところ、PCB汚染に弱いといわれるミンクで活性が顕著に低かった。また、これらの動物のなかでP-450含量はミンクが最も低く、キツネが最も高かった。 (4)Western blot法により、ラットの各P-450分子種と免疫学的に類似のP-450分子種の存在をコイ、フナ、ヤツメウナギ、モクズガニで調べたところ、モクズガニでP-450 2Dと免疫交差性のある蛋白の存在が認められたが、その他のP-450分子種では免疫交差性が認められなかった。 (5)ラットにおける変異原物質の代謝的活性化と年齢の関係をAmes法及びその変報を用いて検討した。Benzpyreneを変異原物質とした場分、活性中間体の生成はyoungの方がoldより顕著に多かった。ところがこれを無毒化する補酵素の存在下では両者に大きな差はなかった。従って、Bemzpyreneの消失は、大量に中間体の出来るyoungの方が早いといえ、発癌の危険性はyoungの方が少ないといえる。直接変異原物質、AF2を用いた場合、youngとoldに差はなく、nitrofluoreneを用いた場合ではoldの方が顕著に変異原性が高かった。以上の結果から、oldラットの方が化学物質による発癌のリスクが大きいことが明かになった。
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