研究課題/領域番号 |
04404029
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研究機関 | 名古屋大学 |
研究代表者 |
小澤 高将 名古屋大学, 医学部, 教授 (80022771)
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研究分担者 |
早川 美佳 名古屋大学, 医学部, 助手 (10238090)
田中 雅嗣 名古屋大学, 医学部, 助教授 (60155166)
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キーワード | ミトコンドリアDNA / 遺伝子欠失 / 蛍光PCR-SSCP法 / 発癌物質 / 心毒性 |
研究概要 |
1.加齢に伴うヒト心筋ミトコンドリアDNA(mtDNA)変異:若年者から高齢者までのヒト剖検心筋よりmtDNAを抽出し、micro-HPLC-MSシステムにて8-hydroxy-deoxyguanosine(8-OH-dG)の定量を行し、kinetic PCR法にて遺伝子欠失を定量した。8-OH-dG量は加齢と共に指数関数的に増加し、97歳で1.5%に達した。7.4kbの欠失をもつmtDNAの比率も増加を示し、97歳で7.0%に達した。8-OH-dG量と欠失mtDNAの比率との間には強い相関が認められた(r=0.92)。2.ヒト高齢者心筋ミトコンドリアDNA(mtDNA)における変異蓄積の解析:77歳の剖検例の心筋からmtDNAを抽出し、1576bpの断片をクローン化し、独立な114個のコロニーを得、合計約50,000bpの塩基配列を決定した。その結果2クローンにC→T塩基転位を見出した。3.加齢に伴うミトコンドリア呼吸鎖活性の低下:ラットおよびイヌの実験より、加齢に伴う呼吸鎖活性低下は、臓器ごとに大きく異なった。骨格筋は、比較的若年から低下を示すが、心筋は高齢にならないと低下せず、肝臓では全く低下を認めなかった。4.ミトコンドリア病動物モデルにおけるmtDNA変異:ミトコンドリア病を引き起こすことが報告されたAIDS治療薬のAZT、肉の加熱処理由来の発癌物質AMPIP、心毒性を有するドキソルビシンを投与し、ミトコンドリア病モデルを作成した。各モデルにおいても、8-OH-dGと欠失の蓄積、ミトコンドリア呼吸鎖複合体Iの活性低下が認められた。ドキソルビシン投与ラットの心筋からmtDNAを単離し、1287bpの断片を約8000個の独立クローンとして得た。蛍光PCR-SSCP法により変異の頻度が対照と比較し、mtDNA変異のスペクトルを分析中である。
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