研究概要 |
HHV-6 HST株のDNAのPstI切断地図をpUC19にPstI切断片を組み込んだpSTYクローン34個から作成した。また全クローンの70%の塩基配列を決定した。その結果,HHV-6の塩基配列はヘルペスウイルスの中でもヒトサイトメガロウイルス(HCMV)のそれと類似していた。さらに,HST株(variant B)とU1102株(variant A)間では90%以上の類似性があるが,前初期や初期抗原において著しい違いが少なくとも5箇所存在することが明かとなった。当研究室で新たに分離したHHV-7 KHR株のDNAを精製し,EcoRIとBamHIでライブラリーを作成した結果,全遺伝子のおよそ65%をクローニングできた。また,メジャーキャプシドタンパク質と予測されるアミノ酸配列の比較を行なった結果,HHV-7はHCMVとHHV-6に類似しているが,特にHHV-6に対する類似性が高い。 HHV-7 KHR株感染細胞をマウスに免疫し,ウイルスに特異的なモノクローン抗体産製ハイブリドーマを30個以上単離した。これらのモノクローン抗体は感染細胞の核と反応するものと細胞質のみと反応するものに大別できた。 HHV-6の感染経路の解析を患者より分離したウイルスのDNAを制限酵素で切断後,ゲル電気泳動のパターンから行なった結果,具体的な感染経路は明らかではないが,母子感染が主経路であることが明かとなった。 臓器移植患者の内,腎移植患者では移植後2-4週間でHHV-6が,8週間でHHV-7が再活性化する場合がある。多くのrejection患者でHHV-6が再活性化されていた。また,骨髄移植患者の場合にはHHV-6の再活性化に伴い,白血球の増殖が著しく押さえられた。
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