研究概要 |
ルビジウムに関する研究:ラットに低ルビジウム食(0.54mg/kg,対照:8.12mg/kg)を与え11週間飼育した。その結果、低ルビジウム食ラットではすベての組織中でルビジウムが低下した。また、血漿、腎臓、脛骨のカリウム濃度が上昇し、心臓、脾臓の燐濃度が低下した。血中尿素窒素が上昇し腎機能の低下が示唆された。 マンガンに関する研究:経静脈マンガン投与の中枢神経系への影響を検べるためマンガンをそれぞれ0,0.022,0.22,0.66mg Mn/kg含有する液を毎日1回4週間尾静脈より投与した。マンガンの経静脈投与は用量依存的に脳マンガン濃度を増加させた。しかし、行動、一般症状、ならびに線条体、海馬および皮質の脳波に異常は認められず、さらに脳の病理組織学的な変化も認められなかった。この実験におけるマンガン投与量はヒトに換算すると臨床に用いられる量の30倍に相当するから通常の臨床で用いられる輸液では重篤な副作用は示さないと思われる。 セレンに関する研究:セレン欠乏ラットではセレン充足ラットに比較して血漿、心臓、脛骨等の鉄濃度が上昇し、血漿、心臓、脛骨等のマンガン濃度が低下した。また、カルシウム、マグネシウム、ナトリウム、カリウム、銅にも若干のアンバランスが発生した。そして、飼料中の蛋白質源としてトルラ酵母を用いる方がビタミンフリーカゼインを用いるよりセレン欠乏症状が著明に出ることも明らかにした。 廃用性筋萎縮に関する研究:片後肢を底屈位で足関節固定術を施行し、ラットに廃用性筋萎縮を生じさせた。萎縮の進行に伴う筋肉中の鉄、亜鉛、マンガン、銅濃度を測定した。鉄濃度は萎縮筋において著しく上昇し続けた。亜鉛とマンガンは一時的な上昇を示した。細胞分画中の鉄濃度をみると、特にミクロソーム中の鉄濃度の上昇が認められた。鉄が廃用性筋萎縮の原因となる酸化ストレスに関与していると思われる。
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