研究課題/領域番号 |
04404053
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研究機関 | 慶応義塾大学 |
研究代表者 |
北島 政樹 慶應義塾大学, 医学部, 教授 (90112672)
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研究分担者 |
岩田 憲治 稲城市立病院, 外科, 医長 (10151739)
白杉 望 慶應義塾大学, 医学部, 助手 (90226324)
島津 元秀 慶應義塾大学, 医学部, 助手 (70124948)
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キーワード | 肝阻血・再灌流 / 肝移植 / フリーラジカル / サイトカイン / 微小循環 / Primary Graft Nonfunction / IL-1 receptor antagonist / Prostograndin E1 |
研究概要 |
昨年度に引き続いて肝阻血・下大静脈クランプモデルを用いて、肝虚血・再灌流による肝臓および胃の組織障害とフリーラジカル産生および微小循環との関連についての検討を進めた。とくに今年度はスーパーオキサイド発生の基質となりうるCoQ10アニオンラジカルおよびスカベンジャーであるsuperoxide dismutase(SOD)の肝臓および胃における組織内動態を測定した。電子スピン共鳴装置を用いて測定したCoQ10アニオンラジカルは再灌流後に肝、胃のいずれにおいても阻血中に低下し、再灌流後上昇する傾向を認め、スーパーオキサイドの発生と平行することが示唆された。ラジオイムノアッセイ法による肝組織CuZnSOD、MnSOD活性の測定では、虚血前に比べ再灌流後3時間まで両者ともに減少したが、前者が再灌流1、2日後も減少を示したのに対し、後者は虚血前よりも増加を示した。前者は主としてcytosolに存在し、後者はミトコンドリアに存在するが、これらの減少は細胞からの逸脱、増加はinductionと考えられ、両者のinductionの様式には差があると推察された。 肝移植実験ではPGE1投与がgraft viavilityに与える効果について、トランジットタイム血統計により測定した動・門脈血行動態および蛍光顕微鏡ビデオモニターを用いた微小循環動態の面より検討した。PGE1門脈内投与により肝動脈血統量は有意に増加し、また蛍光ラベルした白血球の類洞内血流速度、膠着数は著明に改善し、graft survival rateも向上した。すなわちPGE1は移植肝の微小循環を改善し、viabilityを向上させ、primary graft nonfunctionの予防に有用であることが示唆された。
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