研究概要 |
各種泌尿器科癌由来培養細胞株を用い、これら細胞をHoechst33342にて染色し,生細胞における核DNA含量よりこれら細胞を2倍体細胞と非2倍体細胞とに選別し,各種抗癌化学療法薬剤の殺細胞効果につき検討した。その結果cell cycle specific(CCS)薬剤であるmethotrexate(MTX),vinblastine(VLB)では非2倍体細胞において高い殺細胞効果が認められた。この際、MTXは0.5-10mcg/ml濃度48時間接触において増殖期細胞の割合が著明に増加することが判明した。この事実を基にMTX前投与後CCS薬剤であるVLBを接触させると,これら2薬剤の同時投与あるいはVLB前投与後のMTX接触に比しより高い殺細胞効果が認められた。一方,膀胱癌の増殖性をフローサイトメトリーによるbromodeoxyuridine(BrdU)/DNA二重解析により検討すると,浸潤性膀胱癌においてDNA aneuploid,BrdU標識率の高値が認められ,さらにこれら高BrdU標識腫瘍の予後は極めて不良であった。これらの結果は腫瘍増殖性が抗癌剤の感受性,癌の浸潤性あるいは予後と密接に関連し、この増殖活性が腫瘍内においても均一なものでないことが示された。
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