研究概要 |
1.脈絡膜循環調節におけるガス吸入の影響:白色家兎脈絡膜組織血流量は大気圧下での空気吸入に比較して,50%,75%,100%酸素投与でそれぞれ有意に減少し,5%,10%,15%炭酸ガス投与でそれぞれ有意に増加した。 2.眼内手術の脈絡膜組織血流量に及ぼす影響:1)白色家兎脈絡膜組織血流量は硝子体切除のみでは,2週後も3ヵ月後も有意に変化はしなかったが,硝子体切除後に網膜剥離を起こさせると,2週後には有意に増加し3ヵ月後には有意に減少した。2)白色家兎に硝子体切除後,120mmHgの超高灌流圧を負荷し一過性脈絡膜虚血を起こさせた。5分間一過性虚血では虚血解除後の脈絡膜組織血流量は影響を受けなかったが,10分間,20分間虚血では虚血解除後血流量の回復に時間を要し,30分間虚血では虚血解除後血流量は,虚血前より増加した。 3.脈絡膜循環異常の治療:1)エンドリセンA受容体の選択的拮抗薬であるBQ123は,エンドリセン1投与によって起こるウィスター系ラット脈絡膜組織血流量の減少を抑制し,血流量を逆に増加させた。また高血圧自然発症ラットの脈絡膜組織血流量も増加させた。2)アンジオテンシン(A)II受容体拮抗薬であるL-158,809を白色家兎に投与すると,脈絡膜細動脈収縮作用のあるAIIを投与しても脈絡膜細動脈に変化のみられないことを走査レーザー検眼鏡によるインドシアニングリーン蛍光眼底造影で実証した。 4.走査レーザー検眼鏡によるインドシアニングリーン蛍光眼底造影法の基礎的・臨床的研究:本法により実験的家兎高コレステロール血症下の脈絡膜細動脈の狭窄,モノヨード酢酸投与家兎の脈絡膜細動脈の狭窄を認めた。また本法は老人性円板状黄斑変性の症例で脈絡膜新生血管およびその導入血管の検出に有用であり,導入血管に対する選択的光凝固は本症治療に有効であった。
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