研究課題/領域番号 |
04404069
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研究機関 | 新潟大学 |
研究代表者 |
高野 吉郎 新潟大学, 歯学部, 教授 (90126425)
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研究分担者 |
佐藤 修 新潟大学, 歯学部, 助手 (80202092)
前田 健康 新潟大学, 歯学部, 助教授 (40183941)
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キーワード | カルシウム / 組織化学 / X線分析 / 歯胚 / 歯周組織 / GBHA / カルシウム輸送 / 細胞膜 |
研究概要 |
通常、新鮮組織細胞の易溶性Caの局在性を組織化学的に明らかにするためには、形態の保持とCaの流失防止の目的で試料を急速凍結し、無水的に処理する必要がある。しかし光顕観察用大型試料の凍結処理は著しい凍害を生じ、形態観察すら困難となる場合が多い。本研究組織はこの点の克服を試み、生きた組織をあらかじめ等張しょ糖液で短時間潅流することで凍害を大幅に軽減し、大型試料の電顕レベルでの観察も可能とし得ることを見出した。更にこの方法を活用して10〜30mMのCaを添加した等張しょ糖液でラットを潅流し、凍結・置換試料の切片上で、歯胚の各構成要素の膜構造とCaの反応性について、様々な手法(Caの光顕組織化学、透過電顕、X線微小部分析)で検索した。その結果、以下の興味ある事実を認めた。すなわち: 1.ラット切歯では、高カルシウム液を潅流するとエナメル芽細胞層に多数の大型果粒状の燐酸カルシウムの沈澱が生ずる。 2.沈澱はエナメル芽細胞の細胞膜の細胞質面に一致して生じ、細胞膜の外面には起きない。 3.沈澱はエナメル質基質形成の開始期にほぼ一致して発現し、移行期に消失する。 4.成熟期エナメル芽細胞層では原則としてSAに形成期同様の沈澱が生じ、RAには起きない。 これらの新知見は、歯の発生の過程で、エナメル器構成細胞の細胞膜に通常の組織標本作成法では認識不可能なCa結合性の変化が生じている事を示しており、エナメル質の形成と成熟のメカニズムを解明する上で極めて重要な意味を持つものと考える。
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