研究課題/領域番号 |
04404069
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研究種目 |
一般研究(A)
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配分区分 | 補助金 |
研究分野 |
形態系基礎歯科学
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研究機関 | 新潟大学 |
研究代表者 |
高野 吉郎 新潟大学, 歯学部, 教授 (90126425)
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研究分担者 |
大島 勇人 新潟大学, 歯学部, 助手 (70251824)
前田 健康 新潟大学, 歯学部, 助教授 (40183941)
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研究期間 (年度) |
1992 – 1993
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キーワード | カルシウム / GBHA / 組織化学 / X線微小部分析 / エナメル芽細胞 / エナメル質 / 歯周組織 / 石灰化 |
研究概要 |
本研究グループは、歯と歯周硬組織形成細胞によるカルシウム(Ca)制御機構の解明を目指している。研究初年度、我々は高Ca液で短時間潅流したラット切歯の急速凍結・置換試料において、エナメル芽細胞層に限局してリン酸カルシウムの果粒状沈着が生ずることを見いだした。更にこのCa沈着は、基質形成期のエナメル芽細胞と成熟期SAの細胞膜内面にのみ特異的に生じ、骨系の細胞には一切現れないことを確認した。そこで本年はこの新たなミネラル沈着現象の特異性を検定した。 【有根歯】生涯伸び続ける特殊な歯であるラット切歯での現象が、歯に共通の現象か否かを確認する意味で、人の歯と同じ有根歯であるラット臼歯を検索した。その結果、ラット臼歯歯胚においても、切歯の場合と同様な果粒構造が基質形成開始期に一致してエナメル芽細胞層にあらわれ、移行期に消失して成熟ではSA部にだけ発現していた。X線微小部分析の結果、これらの果粒状沈着はリン酸カルシウムであることが確認され、有根歯も無根歯と同様なCa制御機構を有することが示唆された。 【Ca結合蛋白(Ca-BP)】ラット切歯エナメル芽細胞は細胞質内に数種のCa-BPを含むことが知られるが、Ca輸送酵素の活性と関連の深いCa-BPであるカルモジュリンに対する阻害剤を投与したラットにリン酸カルシウムの果粒状沈着パラフィンたーの変化は認められなかった。またエナメル芽細胞は腸管上皮同様、ビタミンD依存性Ca-BPを有するが、ビタミンD欠乏食飼育ラットにおいてもエナメル芽細胞層へのリン酸カルシウム沈着パターンに変化はなく、ミネラル沈着にCa-BP以外の要素の関与が示唆された。以上、高Ca潅流系でエナメル芽細胞層に発現したミネラルの沈着は、エナメル芽細胞の特異なCa制御活性の発現と密接に関連した現象であることが明らかとなった。今後更にこれら諸現象の本態とその生物学的意義を解明していきたい。
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