研究分担者 |
金 成河 昭和大学, 歯学部, 助手 (10205049)
宮浦 千里 昭和大学, 歯学部, 講師 (20138382)
高橋 直之 昭和大学, 歯学部, 助教授 (90119222)
新木 敏正 昭和大学, 歯学部, 講師 (90138420)
阿部 悦子 昭和大学, 歯学部, 助教授 (70119147)
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研究概要 |
ビタミンDの代謝は、肝臓における25位の水酸化と、次いで腎臓における1α位あるいは24位の水酸化によって二段階の調節を受けている。特に腎における水酸化は、活性型ビタミンDである1α,25(OH)_2D_3の産生を制御する点で重要であり、血清中のカルシウム,リン,副甲状腺ホルモン(PTH)などの因子によって調節されている。既に、我々はビタミンD欠乏ラットにビタミンDを投与すると、腎及び小腸の24-水酸化酵素が誘導されること、その誘導はPTHによる調節を受けることを酵素化学的及びmRNA発現量の比較により明らかにした。そこで、本年度は骨芽細胞を用い1α,25-(OH)_2D_3による24-水酸化酵素の発現の調節機序を検討し、小腸や腎臓で得られた知見と比較した。 ラット骨芽細胞株(C24,C11)の培養系に1α,25(OH)_2D_3を添加すると、6時間目より24-水酸化酵素のmRNAが検出され、経時的に上昇した。この骨芽細胞は1α,25(OH)_2D_3レセプター(VDR)並びにPTHレセプターを有し、PTHに反応して細胞内cAMPが著明に亢進される。しかし、腎の場合と異なり、PTHによる24-水酸化酵素の調節は認められなかった。従って、骨と腎ではビタミンD代謝におけるPTHの関与が異なり、組織特異的な調節機構が存在することが示唆された。この骨芽細胞を用いて得られた知見は、ラット頭頂骨を用いたin vivo代謝実験によっても同一の結果が認められた。 24-水酸化酵素の遺伝子のプロモーター領域を用いた、その遺伝子発現調節機構の検討、並びに1α-水酸化酵素のcDNAクローニングも進行中であり、今後はビタミンD代謝の調節機構を2種の水酸化酵素の発現スイッチを担う因子に着目して解析する。
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