研究課題/領域番号 |
04404079
|
研究機関 | 神奈川歯科大学 |
研究代表者 |
志村 介三 神奈川歯科大学, 歯学部, 教授 (20084725)
|
研究分担者 |
葛原 武 神奈川歯科大学, 歯学部, 助手 (40234439)
小林 優 神奈川歯科大学, 歯学部, 助手 (00162024)
木下 靱彦 神奈川歯科大学, 歯学部, 助教授 (70084770)
筏 義人 京都大学, 生体医療工学研究センター, 教授 (00025909)
|
キーワード | 生分解吸収性材料 / ポリ-L-乳酸(PLLA) / 骨髄海綿骨細片(PCBM) / 顎骨再建用トレー / 顎骨再建 / 人工歯根 / 有限要素法 / 生体力学 |
研究概要 |
分子量205、000のPLLAを245℃で紡糸し、80℃で延伸した直径0.56mmと0.6mmのモノフィラメントを織成したメッシュ・トレーを用い、下顎骨再建実験を行った。実験にはビーグル成大10頭を用い、臼歯部下顎骨を長さ2.5cmの区域で骨膜を含めて切除、同部にPLLAメッシユ・トレーを適合・固定し、同犬の腸骨より採取した骨髄海綿骨細片(PCBM)をトレー内に充填した。トレーの適合は、トレーを切除部の下方からU字型にあてがうA法、ならびに、トレーを切除部の上方から逆U字型にあてがうB法の2種類の方法で行い、術後3、6、12か月の治癒状態を肉眼的、X線学的ならびに病理組織学的に観察した。 その結果、A法では、5例全例、術後3か月には切除部に骨が再生し、6か月後には母骨との境界部はほとんど判別されなくなった。組織学的には、1年後もトレー内にはその外形に沿って成熟した骨組織が形成されたが、歯槽頂部ではところによって軟組織の陥入がみられた。また、トレーは組織球により貧食、吸収されつつあるが、周囲組織に炎症反応はほとんど認められなかった。一方、B法では、5例中にトレーの露出と感染が、また1例に骨の形成は良好なものの、トレーの一部露出がみられた。しかし、5例中3例では、術後3か月ですでに切除断端は連続し、歯槽頂部では母骨と同じ高さに骨が形成された。6か月後には組織学的にも、ほぼトレーの形態に沿い緻密な骨が形成され、肉眼的に顎堤の形態も良好であった。 以上、トレーを舌顎骨下縁にあてがうA法は、顎堤形態の回復は充分ではないが、全例早期に生理的な骨組織による連続性の回復が得られ、より確実な再建法と考えられた。一方、トレーを下顎骨上縁にあてがうB法は、2例に対咬歯による外傷あるいは歯肉粘膜の緊張によると思われるトレーの露出を認めたが、成功例では顎骨の連続性ばかりでなく顎堤形態の回復も良好で、メッシユ厚を調整すれば、より機能的な再建法となる可能性が示唆された。
|