研究課題/領域番号 |
04404081
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研究種目 |
一般研究(A)
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配分区分 | 補助金 |
研究分野 |
生物系薬学
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
井上 圭三 東京大学, 薬学部, 教授 (30072937)
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研究分担者 |
青木 淳賢 東京大学, 薬学部, 助手 (20250219)
新井 洋由 東京大学, 薬学部, 助教授 (40167987)
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研究期間 (年度) |
1992 – 1994
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キーワード | ホスホリパーゼA_2 / プロスタグランジン / 炎症 / 肥満細胞 / 脱顆粒反応 / カルシウムイオン / 血小板活性化因子 / 無脳回症 |
研究概要 |
本研究において、動物細胞内のホスホリパーゼA2の多様性とその機能について検討した。その結果、まず、分泌型酵素である14kDaのホスホリパーゼA2が、肥満細胞における脱顆粒反応を促進することを見出した。また、この酵素は細胞の外から作用させると、プロスタグランジン類の生成を促進させる効果があることも示された。これらの結果を考え合わせると、炎症部位に見出された14kDaホスホリパーゼA2は、炎症の増悪化に関与している可能性が示唆される。細胞質内85kDaホスホリパーゼA2は、アラキドン酸鎖を選択的に切断するためプロスタングランジやロイコトトリエン産生酵素と考えられている。この酵素は、ホスホリパーゼA2作用のほかにリゾホスホリパーゼ活性も併せ持つことが明らかになり、アラキドン酸が切り出されると同時に生成するリゾリン脂質の消去も行う能力があることが判明した。また、この酵素は、アラキドン酸のかわりに、ドコサヘキサエン酸を持つと、殆ど分解しないことが分かり、栄養学的にドコサヘキサエン酸のプロスタグランジン生成抑制作用が知られていたが、その分子的基礎がホスホリパーゼA2の反応性による可能性が考えられた。 これらの酵素とは別に、カルシウムイオン非依存性のホスホリパーゼA2を見出した。この酵素は正常なリン脂質は全く分解せず、血小板活性化因子(PAF)の2位のアセチル基や、酸化開列した脂肪酸鎖を選択的に分解した。さらに、この酵素の精製・クローニングに成功し、本酵素が、遺伝的に脳のしわが形成されない、ミラーディーカー症の原因遺伝子であるという結果が得られた。このことは、脳の形態形成にホスホリパーゼA2が必須であるというこれまで全く考えられなかった概念を提唱することになった。
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