研究概要 |
1.ANP-C型受容体の構造解析とリガンド結合部位の同定: ANP-C型受容体の作用機構を詳細に検討するためにcDNAの発現系を用いて一次構造の解析を行なった。ANP-C型受容体はホモダイマー構造を有し1つのサブユニット中に5つのCys残基が存在している。遊離の-SH基が存在しないことを確認しているので,それぞれのCys残基をSerに変えた点突然変異体を作製し解析したところ,1-2,3-4残基がジスルフィド結合により分子内ループを形成し5番目のCys残基で分子間結合していることが判明した。 次にANP受容体間のアミノ酸残基を比較し,相同性の高いアミノ酸残基に点突然変異を導入したところHis^<145>-Trp^<146>残基がリガンド結合に極めて重要であることが判った。また,分子内に存在する2つのループもリガンド結合に必須な高次構造を維持するのに重要な役割を担っていることが明らかになった。 2.エンドセリン受容体の局在部位の同定: 申請者はウシET_B受容体に特異的な抗体を作製したので,これを用いた免疫組織化学染色によりウシ組織におけるエンドセリンB型受容体の局在部位を調べた。エンドセリンが生理的に働いているとして報告されている脳,下垂体,肺,気管,腎臓,副腎の組織切片を作製し得られたET_B抗体により染色したところ,いづれの組織においても血管内皮あるいは毛細血管がよく染まっていた。これらの結果からET_B受容体は主として内皮細胞に存在し,内皮細胞の機能,例えばEDRFの合成,分泌に関与していることが示唆された。
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