研究分担者 |
伊藤 守 (財)実験動物中央研究所, 免疫研, 室長 (00176364)
加藤 秀樹 (財)実験動物中央研究所, 遺伝研, 室長 (30142053)
小泉 均 (財)実験動物中央研究所, 移植セ, 室長代理 (80167395)
玉置 透 札幌北楡病院, 移植外科, 部長
谷岡 功邦 (財)実験動物中央研究所, 霊長類, 室長 (10072406)
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研究概要 |
移植免疫研究に必要なラットの系統の標準化と、免疫抑制剤の効果判定システムの確立を目標とした。 1.各系統ラットのベースラインデータの把握 ACI/N,F344/N,LEW/SsN,WF/N,WM/MsおよびWKAH/HoKの6系統の繁殖値、発育値(体重、臓器重量)および血液性状値が求められ、これらの系統の背景データが整えられた。WF系の出産回数が少ないこと、ACI系の体重が小さいこと、LEW系の心・肝が大きく、WF系の精巣が小さいこと、WKAH系のリンパ球数が高く、WF系の血小板が低値であるなどの特徴が把握された。 2.免疫抑制剤の効果判定のための動物実験系の確立 新規薬剤の効果判定のための組み合わせとしてはドナーをACI/N系とし、レシピエントをLEW/SsN系とする強拒絶の組み合わせと、ドナーをLBNF1系とし、レシピエントをLEW/SsN系とする中程度拒絶の組み合わせの2つが有用であると考えられた。 3.ラット免疫機構に係わる基礎的研究 NK細胞機能の低下したベ-ジュラットおよびT細胞機能を欠損したヌードラットに同系、同種、異種の心移植を行い、移植心の生着日数および拍動停止後の病理組織学的検討を行った。ベ-ジュラットにおいては、同種および異種移植心ともに拍動の延長は認められず、NK細胞単独ではこれらの拒絶にほとんど関与しないことが分かった。ヌードラットにおいては同種移植心の長期間にわたる拒絶回避が明らかとなり、T細胞は同種移植の拒絶反応の主たる役割を担っていることが実証された。しかし、異種移植心の心拍動日数は延長せず、この場合の拒絶にはT細胞と異なる因子が働いていると考えられた。
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