1)X線回折計の整備 本研究費による「回折X線」記録部の購入により、既有の部分と結合する事により、イメージングプレートX線回折計が完成し、極めて良好なデータが定常的に収集できる様になった。現在、結晶冷却装置との組み合わせの作業が進行中である。 2)コンピュータ・グラフィックス装置の整備 本研究費による「CPU上級化システム」の購入により、既有の装置の性能が一段と向上した。 3)マウスのβ型インターフェロンの構造精密化 上記の1)、2)のシステム等を活用して、2.15A分解能の回折データを収集し、結晶学的信頼因子Rが19.1%のレベルまで、構造を精密化することに成功した。その結果Aヘリックス部分のモデルが大幅に修正された(EMBO Journal11.3193-3201(1992);更にJ.Mol.Biol.に投稿済み)。 4)精密な構造に基づくTypeIインターフェロンの構造予測 ヒトのαD型、ヒトのβ型、ウシ及びヒツジのτ型について立体構造予測を行った。これにより、Type Iインターフェロンに関する構造活性相関データを系統的に整理することが出来た。Pharmacology & Therapeutics誌に掲載されたその成果(58.93-132(1993))は、サイトカイン蛋白質全体の中で、他に例を見ない徹底的なものである。τ型に関する構造予測は、Missouri大学のR.M.Roberts教授らとの協力によって行われ、その成果は、J.Interferon & Cytokine Research誌に投稿準備中である。 5)ヒトのβ型インターフェロンの結晶化への再挑戦 1983年〜1985年に行われた試みは、完全に失敗であったが、今回(1994年)の再挑戦(新しく調製した試料による)の結果も同じであり、この系には、結晶化を阻む本質的な原因が有ることを確認した。今後、新たな研究費の補助により動的光散乱装置を購入して、結晶化母液中での標的蛋白質の会合状態をモニターしながら、試料の状態を変える、等のよりシステマティックな努力が必要である。
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