研究課題/領域番号 |
04404091
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研究種目 |
一般研究(A)
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配分区分 | 補助金 |
研究分野 |
代謝生物化学
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研究機関 | 理化学研究所 (1993-1994) 東京大学 (1992) |
研究代表者 |
宇井 理生 理化学研究所, 宇井特別研究室, 特別招聘研究員 (50001037)
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研究分担者 |
櫨木 薫 理化学研究所, 宇井特別研究室, 研究員 (50146007)
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研究期間 (年度) |
1992 – 1994
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キーワード | 肝臓細胞 / 食細胞 / GTP結合蛋白質 / 細胞増殖 / PI-3-キナーゼ / ワ-トマニン / チロシンキナーゼ / 細胞接着 |
研究概要 |
最終年度の主要な研究は、成熟ラット肝細胞の初代培養系と食細胞系を用いて行われた。前者において、肝細胞を高細胞密度で培養すると細胞は分化状態にとどまり、アドレナリン作動性受容体はα_1タイプである。受容体刺激に対する細胞の最終応答であるホスホリラーゼ活性化はホスファチジルイノシトール(PI)-3-キナーゼ阻害薬によって、アゴニストが低濃度の時に限って、抑えられ、高濃度では全く抑えられなかった。一方、増殖期に機能しているβ_2タイプ受容体刺激に対する応答はどのような条件でもワ-トマニンによって全く抑えられない。すなわち、α_1応答においてはPI-3-キナーゼを介する情報伝達路と介さない伝達路が作動し得ることが明らかになった。増殖期に入るとα_1応答は急速に減弱するが、この理由はGqを介して活性化されるホスホリパーゼCの産物イノシトール-P_3(IP_3)の細胞内Ca^<2+>動員作用の減弱によるものであった。PI-3-キナーゼ介在、非介在どちらの伝達路が減弱するかが今後の課題である。一方、食細胞としてはモルモット好中球、ヒト単球系培養細胞株U937、THP-1を用いた。多くの増殖因子やサイトカインの受容体、さらにIgE受容体などの刺激がPI-3-キナーゼを活性化することは知られていたが、今回、IgG(Fcγ)受容体刺激がPI-3-キナーゼを活性化することを発見し、ワ-トマニンがこの活性化とこの受容体刺激に対する細胞の最終応答である異物貧食を、ともに完全に抑制することから、本情報物質の関与に確固たる証明を与えた。補体の受容体(CR3)を介する貧食もPI-3-キナーゼによって仲介される。細胞骨格蛋白質の重合・脱重合に至る情報伝達路において蛋白質チロシン残基リン酸化の上流または下流に位置するPI-3-キナーゼの役割をさらに検討中である。
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