研究概要 |
1.(1)高移動度液体2成分系中の電子移動度測定(テトラメチルシラン(TMS)-2,2-ジメチルブタン(DMB),TMS-2,2,4,4-テトラメチルペンタン,TMS-ネオペンタン)濃度揺らぎを考慮した変形ポテンシャル・モデルで移動度の濃度変化が説明されること,但し濃度揺らぎの効果は密度揺らぎの効果に比べて小さいことを見いだした。 (2)高圧下の高移動度-低移動度液体2成分系中の電子移動度測定(η-ヘキサンー2,2-ジメチルブタン系) 電子局在化状態,準自由状態が優勢な上記2種の液体の混合系を用いて,電子状態の分布を電子移動度μの圧力依存性から求めた。η-ヘキサン濃度25%以下では電子は主として準自由状態にあり,25%以上で徐々に局在化状態が優勢となることを推論した。さらにlogμは気-液共存系同様,混合比に比例することが分かった。 2.電子捕捉反応速度の測定 (1)DMB及び2-メチルブタン中でCO_2, (2)DMB及びn-H中でトルエンによる電子捕捉反応速度を測定した。いずれの場合も圧力増加とともに反応は促進される。陰イオン生成による媒質の電縮効果の結果である。 3.電子捕捉-脱離平衡の熱力学的解析 TMSおよびDMB中のCO_2による電子捕捉反応の伝導状態エネルギーV_Oに基ずく化学熱力学的考察から,CO_2の電子親和力を0.61eVと推定した。この値は最近の理論値および実験値とよく一致する。 4.光電効果法による無極性液体中への電子注入 NaK合金の300-400nm光照射によるイソオクタン,n-ペンタン、TMS中の定常電流を測定した。電流値は当該液体中の電子移動度の大きさと平行関係を示す。 5.自由電子収量G_<fi>の測定 G_<fi>をTMS,イソオクタン、n-ペンタン中で圧力の関数として測定した。TMSと低温領域のイソオクタンともにG_<fi>は圧力に殆ど依存せず,高温領域のイソオクタンとn-ペンタンでは圧力と共に低下する。
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