研究概要 |
1.サイクロトロン高調波動作を用いたサブミリ波ジャイロトロンの高周波化,8T超伝導マグネットを用いた現有のサブミリ波ジャイロトロンを3次高調波で動作させることを試みた。その結果,多くの共振器モードで3次高調波における単独動作を実現し,ジャイロトロンの超高周波化に対する目途を得た。現在,3次高調波で得られた最高周波数は352GHz(磁場強度4.3テスラ)であるが,将来,磁場強度を高めることにより,1THzまでの高調波化が可能である。これらの実験結果は,計算機シミュレーションの結果とよく一致し,矛盾なく説明できる。また,同じジャイロトロンを用いて,長パルスでの動作を行い,352GHzで600ms出力110Wを達成し,プラズマ計測のための光源として利用できる段階に致達した。 12テスラ超伝導マグネットを用いたdemountableジャイロトロンを設計し,試作した。発振テストの結果,2次高調波動作で,最高周波数636GHz(波長472μm),出力200〜500Wを達成した。これらの実験結果に基ずき,計算機シミュレーションによって,波長300μmまで可変のサブミリ波ジャイロトロン管を設計し試作した。 2.ジャイロトロン出力の周波数変調及び振幅変調,本年度の設備備品費で購入した陽極電圧変調用電源を用いて,ジャイロトロンの陽極電圧を変調することにより,出力の振幅変調を試みた。また,電子ビームの加速電圧を変調することにより,電子のサイクロトロン周波数を変調する実験を行った。この変調により,出力の周波数変調を達成する予定である。これらジャイロトロン出力の周波数変調及び振幅変調は,ジャイロトロンをサブミリ波光源として幅広く応用する道を開くものであり,来年度も引き続きこの研究を行う。
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