研究概要 |
1.ジャイロトロン出力の周波数変調,ジャイロトロン出力の周波数変調を行うため,電子ビームエネルギーを変調して,相対論効果によりサイクロトロン周波数を変調することを試みた。この成果に基ずいて,二つのサイクロトロン基本周波数で動作する共振器モードを高速で切り替えることに成功した。これに引き続き,基本波と2次高調波で動作する二つの共振器モードを切り替えることを試みた。これらの結果は,ジャイムトロン出力の周波数を高速で変化させる実験としては,最初の試みであり,ジャイロトロンの広範囲の利用に道を開くものとして注目されている。 2.ジャイロトロン出力の振幅変調,ジャイロトロン出力の振幅変調を行うため,電子銃の陽極電圧を変調して電子ビームの速度分布に変調を加えることを試みた。この成果に基ずき,ジャイロトロン出力の振幅変調を行い,周波数600kHzに到る高周波数の変調に成功した。変調レベルも100%まで任意に変化させることができる。実験結果は,解析的手法と計算機シミュレーションの双方により,定量的に説明できる。 3.12T超伝導マグネットを用いた300μmまで波長可変のサブミリ波ジャイロトロンの製作,現有の12T超伝導マグネット中に,平成4年度に設計試作したジャイロトロン管を設置して,3次高調波動作を12Tの強磁場のもとで行うことにより,波長300μmまでの動作を実現する実験を開始した。現在までに,サイクロトロン基本波と2次高調波を併用することにより,周波数領域159〜587GHzを覆うジャイロトロンを実現した。今後,新たに購入する17T超伝導マグネットを用いて,3次高調波動作を行わせることにより,当初の目標である1THz(波長300μm)を超えるジャイロトロンを開発する予定である。
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