研究課題/領域番号 |
04405006
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研究機関 | 琉球大学 |
研究代表者 |
比屋根 照夫 琉球大学, 教養部, 教授 (10045172)
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研究分担者 |
小那覇 洋子 琉球大学, 法文学部, 助教授 (00224262)
前門 晃 琉球大学, 教養部, 助教授 (60190287)
赤嶺 守 琉球大学, 教養部, 助教授 (20212417)
渡名喜 明 琉球大学, 教養部, 助教授 (20217516)
森田 盂進 琉球大学, 教養部, 教授 (40045167)
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キーワード | 沖縄返還 / 復帰思想 / 開発 / 沖縄文化論 / 芥川賞作家 / 尖閣列島 / 自然災害 |
研究概要 |
本研究は、復帰後20年を経た現時点において、この間の政治・法制構造の変化を跡づけ、さらに復帰思想を検証するとともに、復帰後の諸開発に伴う自然災害の諸相に焦点を当てるなど、政治・社会両面における変動を追跡する。さらに戦後突如として出現した米軍基地と米国人との直接的・間接的接触がもたらした文化変容を言語・文学・社会生活などの諸領域において検証することを目的としている。 今年度における研究分担者の調査研究において得られた知見を一部述べよう。まず、復帰思想の検証に関しては、単に復帰運動史の文脈においてとらえるのではなく、評論・文学作品に現れた沖縄論・沖縄文化論も視野に入れる必要性から、森田盂進が「ある沖縄出身作家の肖像-東峰夫」(『復帰20年、沖縄はどう変わったか』1993琉球大学公開講座委員会)において、復帰の年1972年に芥川賞を受賞した東峰夫のその後の生活と執筆活動を追跡するところから、東の現在の姿を「復帰20年の間に沖縄が生み落とした象徴のひとつではないだろうか」と指摘する。また、赤嶺守は「尖閣列島領有権問題」(『復帰20年、沖縄はどう変わったか』)において、沖縄返還後クローズアップされている尖閣列島の領有権問題について、明治以降現在にいたる経緯を紹介・検証し、「日本政府の冷静な対応」の必要性を説いている。また、復帰後進められた諸開発事業がもたらした自然災害の原因とその対策について、自然地理学が無関心でいるわけにはいかなに。そのための基礎資料の作成も緊急の課題である。前門晃は、1976年〜1981年の間の沖縄関係自然地理学文献目録がないことを踏まえてこれを作成、『琉球大学法文学部紀要-史学・地理学篇』37号(1994)に掲載した。 ほぼ1年間、資料の収集活動を継続する一方で研究会を随時開催し、問題意識の点検・確認と資料の検証に当たってきたが、最終年度に当たる来年度は補足調査の実施に引続き論文執筆、報告書刊行という段取りになる。
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