研究課題/領域番号 |
04451006
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研究機関 | 高野山大学 |
研究代表者 |
松長 有慶 高野山大学, 文学部, 教授 (30086029)
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研究分担者 |
乾 仁志 高野山大学, 密教文化研究所, 講師 (30168421)
藤田 光寛 高野山大学, 文学部, 助教授 (90113191)
越智 淳仁 高野山大学, 文学部, 教授 (80086032)
東 智學 高野山大学, 文学部, 教授 (20086028)
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キーワード | バングラデシュ / パーラ王朝 / インド密教 / 密教美術 / 仏塔 / 仏教寺院 / 仏教遺跡 / パーラ朝美術 |
研究概要 |
研究代表者および研究分担者は、インド、スリランカ、パキスタン、バングラデシュ、中国領のチベット、ネパール、ブータン、インドネシア等で現地調査を行い、数多くの貴重な資料を収集している。 平成5年度は、これら収集した資料を系統的に整理し、インド密教の伝播過程を究明すること、およびインドにおける8世紀から12世紀にかけて、仏教とヒンドウー教との混交の状態を遺品・遺跡およびサンスクリット語とチベット文献によって、確認することに重点を置いた。その結果、 1.密教の金剛界曼荼羅の五仏の台座に使われている鳥獣座の起源と関係するものと推定される四天王に従う鳥獣を、スリランカにおいて発見した。 2.金剛界曼荼羅の37尊の立体曼荼羅のブロンズ像を、インドネシアで発見し、文献の記述と照合した。以上によって、密教のスリランカからインドネシアにいたる展開の端緒をつかむことが出来た。 またバングラデシュのジャガッダラ寺の建立の跡を、チベット文献を用いて考証することによって、ジャグダル(jagdal)村にあったことを確認した。 つぎに、4世紀から13世紀にいたる王朝の歴史をバングラデシュのマイナマティ遺跡群付近より発掘された碑文と銅板刻文によって考察し、この地方が従来の定説のように仏教信者の王ばかりでなく、ヒンドウー教徒の王の支配も受けたため、発掘された像に仏教関係の遺品がすくないことをつきとめた。 インド後期密教が、下部構造においても、ヒンドウー教的な基盤で展開したことが予想されるのである。
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