研究課題/領域番号 |
04451008
|
研究種目 |
一般研究(B)
|
配分区分 | 補助金 |
研究分野 |
倫理学
|
研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
佐藤 正英 東京大学, 文学部, 教授 (90083708)
|
研究分担者 |
遠山 敦 東京大学, 文学部, 助手 (70212066)
菅野 覚明 東京大学, 文学部, 助教授 (70186170)
|
研究期間 (年度) |
1992 – 1993
|
キーワード | 自己 / 超越者 / 物語 / 隠遁 / 時間と意識 / 自然 |
研究概要 |
本研究は、日本倫理思想史の流れの中で、特に「個」や「私」をめぐる思索を中心的課題とした思想をとりあげ、そこにおける「自己」把握のありようを超越者との関係において解明することを目的とするものであった。 以上の研究目的に沿い、本研究では古代物語の古注釈を収集しその解読・整理を行うとともに、物語の発生・構造・話型に関する原理的考察をふまえて、そこに超越者との関係における「自己」把握の原基的形態を探り、これを中・近世の隠遁者の思想、さらには近代的自我の「自己」把握の様態と比較検討することを通じて研究を進めてきた。 その結果得られた知見及び成果として、以下の事柄が挙げられる。 1.物語における「自己」把握の考察にあっては、倫理学的見地からの物語原理論の構築が不可欠であること。物語における時間と意識とをめぐる報告書所載論文は、そうした観点に立つ研究成果である。 2.近代的自我の発生という問題を考察する際に、「自己」と「自然」との関係の重要性が浮び上がった。即ち例えば西洋キリスト教社会において人に対して神が持つ超越的な性格を、日本思想史の中では(「仏」・「神」と並んで)「自然」がもつと考えられる。日本天台開祖・最澄における「山岳」修行の意義、あるいは中世の隠遁者・西行の歌詠における「花」の意義についての報告書所載論文は、そうした観点に立つ研究成果である。
|