研究課題/領域番号 |
04451009
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研究種目 |
一般研究(B)
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配分区分 | 補助金 |
研究分野 |
美学
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
高辻 知義 東京大学, 教養学部, 教授 (80012467)
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研究分担者 |
岩佐 鉄男 東京大学, 教養学部, 教授 (50203360)
小林 康夫 東京大学, 教養学部, 教授 (60153623)
杉橋 陽一 東京大学, 教養学部, 教授 (50015278)
蓮實 重彦 東京大学, 教養学部, 教授 (30012454)
森安 達也 東京大学, 教養学部, 教授 (90012442)
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研究期間 (年度) |
1992 – 1993
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キーワード | 音楽劇 / 表象 / 電子メディア / パフォーマンス / 芸術の受容 / 演劇性 / 身体表現 / マス・メディア |
研究概要 |
本研究の目的は、西洋の19・20世紀の芸術における、音楽と言語と身体の多面的な相関関係を総合的に分析・解明し、それを通じて現代の芸術表象のもっとも基本的な枠組みとも言える舞台空間の多様性を包括的に研究することにあった。この目的のために、われわれは舞台空間の原型を〈音楽劇〉のうちに求め、その空間構造とダイナミクスを、とりわけ演劇的強度と音楽的強度との関係、ならびに言語的意味と身体表現との関係に注目することによって定式化し、その基本モデルを構築するに至った。 この基本モデルから出発して、オペラ・バレエ等の「公式の」芸術の代表的作品における、音楽・言語・身体表現・セノグラフィーなどの多重的コードの分析や、サブ・カルチャーや宗教的典礼などの汎演劇的表象の分析が着実に遂行されたが、同時に、理論面での研究の深化とともに、これらと平行して、その理論的成果を実際の芸術創造の現場にフィードバックすることも試みられた。その試みは、とりわけ研究メンバーの一人による演出(ミュッセ『ロレンザッチョ』、ハイナー・ミュラー『四重奏』)において際立っているが、それだけではなく共同研究グループによる音響・映像機器ならびにコンピュータを駆使した「電子メディア」による「音楽劇」の実験も行われ、それは「ハイパー・マルチメディア・パフォーマンス」の上演という形で結実した。 こうして、「音楽劇」というジャンルのもつ新たな局面を提示するとともに、今後の発展のダイナミックな方向性を示した本研究は、表象文化論という視座からの総合的な芸術研究の豊かな可能性を開示するという大きな成果をもたらしたと総括することができる。
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