研究概要 |
舞薬系民俗芸能にみられる狂言的要素の調査研究については,対象を静岡県周智郡森町の3ヶ所の伝承に綾り、天宮神社十二段舞楽(調査済み)・小国神社十二段舞楽(平成5年4月17日・18日に調査の予定)・山名神社舞楽(調査済み)の現地調査を行い,山名神社舞楽と称されている芸能の動物風流的な特殊性について,他2社の伝承している十二段舞楽との比較の上で明らかにしたい,なお山名神社舞楽については,さらに伝承地の年長者に対して聞き取り調査を進め,その上で結論を出したいと考えている。 民俗芸能にみられる狂言様式の分類については,郷土能の狂言(黒川能の狂言・能郷の能の狂言など),風流踊の狂言(綾子舞の狂言・惣谷狂言など),田楽芸の狂言(雪祭り・遠山祭・懐山のおこないなどにみられる狂言),神楽芸の狂言(獅子舞の狂言・採り物神楽の狂言など),念仏芸の狂言(大念仏狂言・鬼未迎など),人形劇の狂言(のろま人形など),舞楽の狂言(動物風流・伝承地独自の芸など),三番叟(式三番・人形三番など)などの項目を立てて研究を進めているが,上記のほかに囃子舞・滑稽掛合・にわか・落語・万歳・幇間芸等々の芸能にも,狂言的要素が大きいことを指摘することができ,逆に狂言独自の芸が何であるかという疑問をもった。本流狂言の定義を打ち出すことが可能であれば,民俗芸能にみられる狂言の分類もスッキリしたものになるであろうと考えている。
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