研究概要 |
本年度においては,親子関係に関する数多くの論文について研究会で検討がなされ,親子関係に関するこれまでの研究がレビューされた.さらに,このような研究会における検討を通して,本研究の目的の1つである新しい親子関係尺度の項目作成がおこなわれた. その際,8つの異なった子どもの生活領域における,(1)両親の行動に対する子どもの認知と,(2)父親あるいは母親の自分自身の行動についての認知の観点から,親子関係が測定されるように,子ども版・父親版・母親版が作成された.このような多次元からなる親子関係尺度は,過去の研究からの知見にもとづいて,子どもの養育行動において見出される,それぞれ認知・支配・愛情に3側面についての尺度が構成された. これらの尺度について,約500名の小学校3年生から6年生の子どもを対象に,その子ども版が実施されると同時に,それぞれの両親にも父親版・母親版が実施され,そのずれが検討された. その結果に基づいて,新しい親のしつけの仕方の類型化と親子相互作用のあり方の分類が行なわれた.その際,認知・情緒・行動の3次元の軸が考慮され,これに基づいてしつけの仕方が類型化された. これらの調査結果に基づいて,筑波大学心理学研究(新井ほか,印刷中)に詳しい報告がまとめられた.
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