研究課題/領域番号 |
04451024
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研究機関 | 大阪大学 |
研究代表者 |
糸魚川 直祐 大阪大学, 人間科学部, 教授 (90027962)
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研究分担者 |
待田 昌二 大阪大学, 人間科学部, 技官 (00222290)
今川 真治 大阪大学, 人間科学部, 助手 (00211756)
金澤 忠博 大阪大学, 人間科学部, 助手 (30214430)
中道 正之 大阪大学, 人間科学部, 助手 (60183886)
南 徹弘 大阪大学, 人間科学部, 助教授 (40030043)
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キーワード | ニホンザル / 母性行動 / 母子関係 / 世代伝承 |
研究概要 |
我々は30年以上にわたる野外に生息するニホンザルや実験室で飼育されているニホンザルを対象とした行動研究から、母ザルの子ザルに対する母性行動のあり様は、放任的、過保護的など個体毎に異なり多様であることを明らかにしてきた。しかし、メスが子ザルの時に母ザルから受けた子育てのパターンと同じようなパターンで、自分が母ザルとなったときに子育てを行うか否かについては、全く扱ってこなかった。そこで、ニホンザルにおいて、母性行動が母ザルから娘ザルへ、さらに、娘ザルから孫娘ザルへと世代伝承されるのか否かを検討するために、本研究を開始した。 岡山県真庭郡勝山町神庭に生息する野生ニホンザル集団(勝山集団)を対象とした研究: 勝山集団はすでに30年以上継続観察が行われており、3世代にわたる子育て行動の比較が可能な個体が数頭いる。例えば、成体メスの中で優劣順位が第1位のメスの子育て、その娘の子育て、さらに孫娘の子育ては、母子間の身体接触の生起率を指標にとる限り、化なり類似している。この様に、母性行動における世代伝承の存在を示唆する資料が得られ始めた。また、上述の第1位メスはすでに数頭以上の子ザルを育てているが、その際に示した母性行動のスタイルは概ね過保護的であった。このことは母ザルの子育てのスタイルは出産、子育てを何回経験しても、そのメスに特徴的なものは持続することが予想される。このような母性行動における個体内の持続性(または安定性、恒常性)が世代伝承の基盤に成っているとも考えられる。 大阪大学人間科学部比較行動実験施設で飼育されているニホンザルメスを対象にした観察でも、ほぼ同様の資料が得られたが、サヌプルサイズがまだ少なく野外の資料との充分な比較ができるまでには至っていない。
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