研究課題/領域番号 |
04451032
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研究機関 | 北海道大学 |
研究代表者 |
小林 甫 北海道大学, 教育学部, 教授 (90002146)
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研究分担者 |
内田 司 札幌学院大学, 人文学部, 助教授 (40142905)
所 伸一 北海道大学, 教育学部, 助教授 (50133682)
木村 保茂 北海道大学, 教育学部, 教授 (40003959)
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キーワード | 青年期発達 / 市民社会の種差 / 特殊化された学校社会 / 社会人としての自己形成 / 職業人としての自己形成 / 自己革新性 / 共育としての教育 / 生涯学習システム |
研究概要 |
本年度の実施計画は、(1)理論・文献研究での「市民社会の種差」の検討、(2)実証的調査研究での「〈家族-学校-企業のトリアーデ〉の実態的把握であった。前者ではイタリア・ロシア・アメリカに関する文献を収集し、特にロシアについてはユジノサハリンスク教育大学との協力のもと、サハリン州の産業と青年教育関係の資料を入手・翻訳した。 後者では、首都圏での生活と教育をめぐるネットワーキング形成、沖縄県での地域開発をめぐる国-自治体-企業-学校の対応と若者の動向についての聴取調査を行った(一部年度末に再調査)。北海道・沖縄県との対比で、大分県の一村一品・テクノポリスと担い手形成も調べた。 しかし、後者での重点は札樽圏での実態調査であった。ここでは、青年期を中学在学段階、高校在学段階、高卒後段階に区分し、かつ上記のトリアーデを「家族-学校」の側面と「学校-企業」の側面とにブレイクダウンして、調査を設計した。すなわち、中学在学段階の「家族-学校」の側面(中学2年生とその母親、担任・非担任の教師)と、高卒後段階の「学校-企業」の側面(工高卒後1〜3年の卒業生の追跡、特定企業の労働過程・職場集団における若者)の調査である。 札樽圏随一の進学校であるA中学での「家族-学校」調査からは、子どもと母親の間には〈いい学校→いい会社→いい生活〉という価値志向の積極的肯定は見られず、塾通いは「高いレベルの授業」への消極的対応であったが、教師の側では逆い「業績志向が強い」ことが判った。進路指導は高校選択指導になっていた。札樽圏に就職した小樽B工高卒業生の転職を含む職場選択は、額面給与額というより、同僚・先輩との協働を通しての職業人・社会人としての〈社会的成長〉の可能性に基づいていた。このことは、小樽の中小企業C社・D社の調査からも裏づけられたが、札幌A中学の平均的母子の価値志向とも重なる動向である。
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