本研究の目的は、大きく分けて2つある。一つは、比較文化研究の新しい研究方法を模索することであり、もう一つは、遠隔地間の共同研究の方法を確立することである。前者については、(1)分析用のコンピュータシステムの構築(ソフトを含む)、(2)内容分析へのコンピューターの応用、からなる。本年度においては、両者共に、大体のめどがついた。まず、内容分析をアシストするために、機械翻訳に着目し、この応用可能性を探った。高価で優秀なものから、比較的安価なものまで、本当に様々な、機械翻訳システムを、見学し、デモンストレーションを行ってもらった。その結果、この分野の進歩が激しいことと、当初予定していたシステムが、実用に耐えられないことがわかった。そこで、別のシステムを探し、結局、全てのシステムが備ったのは、12月の上旬になってしまった。それ以降、翻訳システムの応用可能性を試みてきた。まず、既存の社会学の論文の翻訳を試みた。それから、別の論文作成ならびに翻訳作業も試みた。結果は、そのままは使えないが、ある程度は使えるというものであった。そして、さらに、日本とアメリカのポピュラー音楽の分析を始めて、一応、翻訳が終ったのが、この3月である。(分析は次年度。また、文学社会学についても、継続して分析を試みたい。) 後者については、コンピュータシステムの構築が遅れたため、計画より、やや遅れている。本年度では、入力用のOCRの試運転を終え、パソコン通信の試運転を、ようやく2月に終えたばかりであり、本格的には、次年度になりそうである。 しかし、最も重要な、機械翻訳システムの、ある程度の実用可能性のめどがついたことから、次年度には、一定の成果が期待できるであろう。
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