本研究では、いわゆる情報文化を比較分析するために、機械翻訳の応用可能性に焦点をあててみた。その分析は、第一に、分野としては、文化社会学にかかわり、第二に、具体的な方法としては、内容分析に密接に関連している。また、第三に、分析対象は、社会学、特に、社会意識に関連する、ポピュラー音楽の歌詞をとりあげてみた。 まず、機械翻訳については、多くの翻訳リフトのデモンストレーションにでかけ、最後に、辞書ソフト・英日ソフト・日英ソフトの3つに絞った。また、内容的には、unixを用いる高価値・大容量のものから、パソコンを用いるものまで、何段階に分けられた。しかし、予算上の制約、価格差ほど品質が変わらないこと、などから後者のものを選択した。また、分析対象の歌詞は、日本とアメリカの売り上げによって選曲した。具体的には、日本ではオリジナルコンフィデンス社のもの、アメリカではビルボードを用いたのである。 本研究の結論は、以下のようである。英日については、ある程度実用的に使用可能であり、日英については、今のところ実用段階にはないというものであった。だからといって、この結論に非観する必要はない。そもそも、歌詞の内容分析は、人間にとっても極めて高度な情報処理の一つであるからだ。大切なことは、中期的・長期的にみて、文化社会学に、機械翻訳を応用する見通しがたちそうだという点にある。ただし、安易に導入をすべきではないし、批判的かつ創造的に導入すべきであろう。さらに、新しい情報処理技術の応用の必要性は明らかであり、使い方と方向をはっきりとした上で、深く研究することが望まれる。
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