本年度は、研究期間(3年)の最終年度である。本研究は、高齢化の進展による過疎地域住民の生活問題を現地調査によって捉えることを目的に行ってきた。これまでに、埼玉県大滝村、山梨県三富村および竜王町といった東京近接の地域社会を調査してきたが、本年度はその締めくくりとして東京都檜原村において調査を実施した。当初の計画では、過年度に調査した地域を再訪し、資料等の補充をする予定であったが、本研究が東京に近い過疎地域をフィールドとしてきた経緯からして、東京都の過疎地域を無視するわけには行かないので、ここを調査することとなった。 東京都には現在3つの過疎指定村がみられるが、このうち2地域は島嶼であるので、檜原村は本州における唯一の過疎指定地域である。檜原村から都市部へのアクセスは悪くない。道路は整備され高速道路も近くを通っているのでマイカ-があれば都市部への通勤もさほど困難ではなく、バス・電車と乗り継いで行っても2時間くらいで都心へ出られる。しかし、このように比較的交通の便に恵まれた過疎地域においても過疎化は進行している。ここに我々の関心は向けられた。 平成6年10月に調査を実施したので、分析作業はまだ十分ではないが、檜原村を含めて大都市周辺の過疎地域固有の問題点を整理したい。とくに高齢者にとって過疎地域の住み易さと住み難さを整理するとともに、高齢者にとっての快適な生活の条件について、何らかの知見を見出したい。 また、過疎地域の類型化も一つの課題であったが、類型化にまでは至らないにしても、過疎指定市町村との整合性を考慮に入れて、過疎法の基準をある程度尊重した全国的な分類をしてみた。
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