研究概要 |
明治憲法下の帝国議会における衆議院議員の経歴に関する分析を目的とした本研究の具体的作業は各選挙回ごと、すなわち戦前期における第1回衆議院議員総選挙から第21回衆議院議員総選挙までの当選議員の個人ファイルを作成することから始まった。 研究作業2年目における現段階は各選挙回ごとの2千数百人の個人ファイルを作成し終わり、ファイルに基づいて、変数群A=氏名、ID番号、選挙回次、所属政党、当選回数、生年、出生地、、学歴、専攻,変数群B=続柄、父親の職業職歴、団体役員歴、閣僚歴、党内役職歴、外国留学歴などの諸変数を表記した個人原票の作成に入っている。作業の過程で判明した知見、今後の問題点等は以下の通りである。【.encircled1.】変数群Aに関しては容易に判明するが、変数群Bに関しては手掛かりとする原資料の確定と入手が困難であること。【.encircled2.】個人ファイルを作成する上で最も役立った『議会制度百年史』は確かに多くの情報を与えてくれるが、個々の議員がどの選挙次においてどういう経歴を経ているのかを識別出来ないような表記の仕方になっているのである。それを確定しようとして他の文献に当たるも信頼に足るものが無い。【.encircled3.】『人事興信録』は今のところ唯一のものであろうと思われるが、戦後の版はどの機関においても簡単に手に入るが、戦前期の版は欠号があったりして不完全な資料収集の状態である。その出版社に問い合わせると1人物の情報検索コピーに千円かかると言われ、この手段は取れそうもない。【.encircled4.】また、『興信録』の第1版は明治36年であって、第1回衆議院総選挙は明治23年から明治35年までの間の選挙回に関しては他の方法を考えなければならない。 ともあれ、完璧な資料収集はあり得ないので、入手し得る限りでの資料をもとに不明確な部分を明らかにしながら戦前議員に関する一応の経歴分析は可能であると思われる。
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