平成4年度の研究を継続するとともに、そこで発見された問題点をさらに深く検討した。(1)共同研究会を定期的に開催し、ゲストスピーカーも招いて、「言いわけ」という視点の社会学的有効性や限界を、さまざまな角度から検討した。(2)とくに、今世紀の日本にとって「アメリカン・ウェイ、オブ、ライフ」という動機づけ(「言いわけ」)が果した役割に焦点をあてた。(3)理論面ではイデオロギーや流行といった現象と「言いわけ」との接合性を考察した。その結果、いわゆる「イデオロギーの終焉」や「冷戦の終結」、あるいは「近代神話の崩壊」という現代社会の状況を考察するうえで、「言いわけ」という概念がきわめて有効かつ新しい分析の切り口をもっていることが確認され、今後ミクロのレベルでもマクロのレベルでも研究を展開していくための基礎作業を終えることができた。
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