平成4年度は聴覚障害児用に試作された言語力評価テスト「ガエルテスト」(実験版)を用いて、聾学校幼児児童の話しことばの能力を測定した。まず、聾学校幼稚部幼児71名と健聴幼児30名を対象に、聴覚障害児用言語力評価テスト「ガエルテスト」(実験版)のレベル1を実施した。テストの結果、聾学校幼児の話しことばの獲得について「音声に対して反応する→目的的に声を出す→促されて発声する→いくつかのことばを区別する→いくつかの単語を模倣する→いくつかの単語を表出する→文を理解する→促されて文を表出する→文を自発する」という一連の流れのあることがデータをもとに明らかにされた。次に、聾学校小学部児童83名と健聴児40名を対象に、「ガエルテスト」(実験版)のレベル2を実施した。テスト結果は文法的な観点から分析された。テスト結果から、聴覚障害児が獲得しやすい文法項目や獲得しにくい文法項目が健聴児との比較から明らかにされた。 これらの結果から、「ガエルテスト」(実験版)により聴覚障害幼児および学齢期の聴覚障害児の話しことばの発達に関する詳細な分析が可能であることが示された。 平成5年度は聴覚障害児および健聴児を対象にさらに実験を行い、データ数を増やす。特に、健聴児のデータを大量に収集し、「ガエルテスト」の標準化を試みる予定である。
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