平成5年度は聴覚障害児用に試作された言語力評価テスト「ガエルテスト」(実験版)を用いて、聾学校幼稚部幼児、聾学校小学部児童および健聴幼児、普通小学校児童を対象に実施し、平成4年度に実施した分と併せて分析し、学会雑誌に発表した。分析結果をもとに、ガエルテストの方法や内容について吟味し、聴覚障害児用言語力評価テスト「ガエルテスト」を完成させた。このテストは聴覚障害児の話しことばの能力を評価する方法としては我が国最初のものであろうと思われる。テスト結果は文法的な観点から分析でき、聴覚障害児一人ひとりの問題点が明らかにできるので、言語指導を行う際に非常に有効な情報を提供するものである。またこのテストは難易度から3種類に分けてあり、単語しか表出できない幼児から単純な文なら表出できる児童まで、対象児の言語能力や年齢によって選ぶことができる。ガエルテストは一応聴覚障害児を対象に考案されているが、広く言語障害児にも適用可能である。 さらに、本年度では、ガエルテストの用具を20セット用意し、外部機関に貸し出しできるようにした。また、ガエルテストの実施方法と研究結果を研究成果報告書にまとめ、400部印刷し、全国の聾学校および関係する諸機関に配布した。
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