I 八丈島における近世から近代にかけての青年・女性組織調査。 村役場所蔵文書、八丈島歴史民俗資料館、郷土史家葛西重雄、沖山誉嗣、磯崎憲之氏らとの聴き取り調査、『八丈実記』、<南海タイムス>等から、イ.新資料の発掘、ロ.青年・女性組織と学校(私塾、寺子屋を含む)との関連調査を実施した。 II 新島・式根島における若者組の調査。 新島においては、村教育委員会、村文化財古文書点検台帳、郷土館、長栄寺、十三社神社、旧前田吉兵衛所蔵文書、新島漁業組合所蔵文書を中心に、イ.新資料の発掘、ロ.漁業組合・消防組と若者組・青年団との関連調査を実施した。 同時に、新島本村、若郷地区において古老を中心とした若者組・娘組の実態に関する聴き取り調査を行ない、併わせて本村・若郷における隠居制度、一人前観に関する調査を実施した。 式根島においては、式根支所、前田家文書の調査、郷土史家前田万作氏らと『式根島開島百年史』を中心に、式根島における近代化と寺子屋や学校等教育の果たしてきた役割りについて検討した。 III 神津島における戦中の青年・女性組織調査。 神津島における場合は、村役場所蔵文書、教育委員会所蔵文書、松本一、山下彦一郎所蔵文書、濤響寺文書等の調査等を行ない、島関係では稀有な青年団報<郷土>の実態分析を行ない、古老らの聴き取りによって漁撈組織と若者集団の相互依存展開過程について研究することができた。島嶼にはそれぞれ固有の文化、生産と労働組織、女性の独自の働きをもち、それが若者・女性の一人前の成立に一定の条件をもっている。さらに各島には別箇の職能、罪状による流人の文化との融合関係も村人の生活・文化に多大の影響をもっており、教育上にも看過できない。
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