1 研究調査の内容 本研究目的達成のため、平成5年度は、新島、大島、八丈島、三宅島における若者組・娘組等青年・女性組組の調査研究を実施した。 (1)新島では、主として教育委員会、文化財委員会、郷土資料館、長栄寺、十三社神社、旧名主家の各所蔵文書の調査、及び古老による聴きとり調査を実施した。(2)大島では、大島古文書研究会との合同調査、及び教育委員所蔵の故坂口一雄未公開資料の調査研究に従事した。(3)八丈島では第2回目の調査であったが、歴史民俗資料館所蔵文書及び長尺路家所蔵文書の資料蒐集及び古老による聴きとり調査を行なった。(4)三宅島では、主として七島文庫所蔵文書、浅沼和男家文書を中心に資料蒐集及び古老による聴きとり調査を実施した。 研究調査の分析 伊豆島嶼の若者組・娘組の近世における実態、及びその近代における展開過程を、若者集団の伝統・抵抗・自覚過程の各時期での分析を実証的に行なった。 若者組・娘組の研究に当たり、第一には、島嶼共同体における民俗学的伝統や諸習俗の関係、第二には、いわゆる流人文化(あるいは中央文化)と伝統的習俗との混流融合の問題、第三には、島嶼における産業組織としての漁撈組織、あるいは自治組織としての消防組等との展開過程、第四には、信仰・宗教の組織や変遷との関係、第五には、島ごとに相違をみせる家制度・隠居制度と若者の独立形態の特殊性など有機的な調査研究を実施した。 3まとめ 主として八丈島・神津島における近世から近代、戦中期までの若者集団の変遷過程を実証的に分析した。今後、伊豆諸島全体についての総合的研究が課題である。
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