研究課題/領域番号 |
04451058
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研究機関 | 筑波技術短期大学 |
研究代表者 |
志水 康雄 筑波技術短期大学, 電子情報学科, 助教授 (60015873)
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研究分担者 |
渡辺 隆 筑波技術短期大学, 電子情報学科, 教授 (60015865)
後藤 豊 筑波技術短期大学, 電子情報学科, 助教授 (90205617)
大沼 直紀 筑波技術短期大学, 教育方法開発センター, 教授 (20169022)
加藤 雄士 筑波技術短期大学, 電子情報学科, 教授 (50224548)
堀越 源一 筑波技術短期大学, 電子情報学科, 教授 (90023697)
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キーワード | 重度聴覚障害者 / 聾学校 / 補聴器 / ハウリング / ディジタル |
研究概要 |
補聴器の出力音が耳栓と外耳道との隙間から補聴器のマイクに帰還してしまう音響フィードバック(acoustical positive feedback)によるハウリング(例:「ピー」等の音)は、補聴器の利得や出力音を大きくすればするほど出やすくなる。この状態になると、どんな入力音も最終的には「ピー」という音だけになってしまい、言葉の聞き取りに著しい悪影響を及ぼしてしまう。重度聴覚障害者ほど補聴器の特性を聴力に合わせて利得や出力を大きくすることができず、聴覚補償上の大きな問題点であり、聴覚活用を期待したい聾学校等では切実な問題である。 このハウリング音を、デジタル技術を利用して抑制する電子回路を用いた補聴器を考案し、当・短期大学生及び聾学校児童・生徒に教育現場或いは日常の生活環境下で試用してもらつた。この回路は、発生したハウリング音を検知し、この音を直ちに分析・計算し、その結果を入力部にフィードバックして、瞬時に入力音と相殺してしまうものである。 その結果、ハウリング限界まで補聴器の利得を大きくしたときに、従来の補聴器よりも改良した補聴器の方が10〜13dBも大きな利得が得られた。このために、補聴器装用域値も14〜16dBも低下した(より小さな音までも補聴器で聞き取れるようになつた)。このことは、重度聴覚障害者(聴力レベル100〜120dB位)では従来困難とされていた日常の普通の大きさのレベルの会話音の聴取が可能になつたことを意味しており、事実、言葉の聞き取り能力である語音明瞭度の改善(15〜25%)がほとんどの対象者で見られた。さらには日常生活においても改良補聴器の方が自覚的にも好ましいとの結果が得られた。 今後、本方式の更なる改良によつてより一層のハウリング防止が進むことにより、聴力レベル120dB以上の難聴者にも補聴器の活用の可能性も生じ、聴覚活用の教育の向上が期待される。
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