研究課題
平成4年度は、第一に諸外国の軽度障害児に関連する先行研究の収集と分析を行った。その結果、特にアメリカ合衆国において「学習障害児」のための教育プログラムで援助を受けている子どもたちの状態像の多様さが明らかになった。また、巡回教師、支援教師等、様々なシステムを試行していることが示された。一方、日本では、担任教師が援助を必要としていることが示唆された。第二に、通常の学級または特殊学級に在籍する学習障害児、軽度精神薄弱児、自閉症児の学校適応について研究を実施するための準備を進めた。事例対象児については、担任教師、在籍校の校長、教頭、さらに保護者との協議の結果に基づき、対象児の学校適応上の問題に焦点を当てて決定した。通常の学級に在籍する軽度障害児の学校適応上の問題として挙げられたのは教科学習の遅れだけではなく社会性、特に対人関係にかかわる問題であった。一方特殊学級に在籍する障害児の場合は交流の時間に関する吟味の必要性が指摘された。特に、一般的に行われている交流の場面としての体育、音楽、図工は必らずしも参加が容易ではないことが協議の中から指摘された。体育ではゲームのルールが理解できない、器械体操がむずかしい、図工では彫刻刀を使えない、音楽ではリコーダーの演奏ができない等が具体的な問題として示された。
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