研究代表者の実践研究の成果から、ここでは「子どもが自発する身体の動きや声などのリズム」(以下「行動リズム」と呼ぶ)に注目して今回の研究を行なった。この「行動リズム」に合わせる教師の働きかけを研究対象とした。具体的に代表者は、重症心身障害児が身体を左右や前後に揺するロッキング行動に合わせて子どもの身体を揺するようにしている。その指導を平成4年度にも実施し、重症心身障害児における有効性を再確認した。群馬大学教育学部附属養護学校を訪問したり、県内の養護学校の情報を収集したりしたが、顕著なロッキング行動を示す事例の協力は得られなかった。そこで、定期的な訪問は断念して、集中的な指導をして、その資料をビデオに収集する方式へ改めた。その一例を述べれば、行動リズムに合わせて子どもの身体を揺すって働きかけると、それまで勝手に揺すっていた子どもが、指導者の働きかけを待つようになり、次第にその働きかけを要求するようになることが確められた。さらに、翌日になると約8m離れた所から、寝返りで移動し、指導者に接近してから要求した事例もいた。 記録の分析用ソフトウェアの開発については、ビデオ画面上に格子(グリット)をスーパーインポウズし、マウスで計測点を入力し、その座標を表示するソフトウェアについては完成している。ただし、現象が予想より早く、かつ事例差もあるため、測定時間間隔を適性化するためのソフトウェアを開発する必要が生じてきた。予算的制約もあり、かつ、高度のソフトウェアであるため、この点では充分進捗していないのが現状である。 次年度には、主に計測ソフトの開発に力点を置き、上記の問題点を解決すべく作業を進めている。
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