研究課題/領域番号 |
04451070
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
勝俣 鎮夫 東京大学, 教養学部, 教授 (10021297)
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研究分担者 |
甚野 尚志 東北大学, 教養学部, 助教授 (90162825)
三谷 博 東北大学, 教養学部, 助教授 (50114666)
並木 頼寿 東北大学, 教養学部, 助教授 (80155986)
本村 凌二 東北大学, 教養学部, 助教授 (40147880)
義江 彰夫 東北大学, 教養学部, 教授 (80001775)
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キーワード | 交易 / 商人 / 港 / 都市 / 習俗 / 生活文化 / 民間信仰 / 民衆意識 |
研究概要 |
本年度における研究は、昨年度来の研究で不充分であった局面を補強しつつ進められた。とりわけ、地中海世界をめぐる商業交易関係の資料が欠落していたので、図書の購入が間に合わず、やむなく文献の複写によって補い、資料の整備に努めた。それにともなって、作業の中心には、商人と物資の交流およびそれにともなう生活文化や習俗の変化について、それを現象として拾い出すことに力点が置かれた。 まず商人の交易活動の実態に関して、それぞれの地域毎の特性、すなわち事例の現れ方や史料の残存状況に応じて、類別化する必要があった。例えば、日本の中世社会については、海賊の存在形態と商人の活躍が密接に結びついており、それらの事例を広範囲に摘出することから、海上交易圏を想定することができる。また、古代地中海世界については、多種多様な商人が史料のなかでどのような具体的事例と結びついているかを確認しなければならない。こうした類別化の課題には、まず多数の事例を可能なかぎり網羅的に列挙するという作業が不可欠であり、それをカード化し、その一部をコンピューターに入力することで分析の基礎を築くことになった。 こうした基本的な作業とともに、それらの商人たちを通じてもたらされる物資や情報が古来の生活文化や習俗をどのように変容させたのか、が問われた。この視角からは、主として民衆の意識や思想の在り方に注目し、民間信仰や差別観の実態を究明することになった。こうした個別研究を踏まえて、商業交易と習俗文化の変容における歴史的な論理と必然性を探求する総合的な議論が展開されたのである。
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