研究課題/領域番号 |
04451070
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研究種目 |
一般研究(B)
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配分区分 | 補助金 |
研究分野 |
日本史
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
勝俣 鎮夫 東京大学, 教養学部, 教授 (10021297)
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研究分担者 |
甚野 尚志 東京大学, 教養学部, 助教授 (90162825)
三谷 博 東京大学, 教養学部, 助教授 (50114666)
並木 頼寿 東京大学, 教養学部, 助教授 (80155986)
本村 凌二 東京大学, 教養学部, 助教授 (40147880)
義江 彰夫 東京大学, 教養学部, 教授 (80001775)
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研究期間 (年度) |
1992 – 1993
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キーワード | 交易 / 商人 / 港 / 都市 / 習俗 / 生活文化 / 民間信仰 / 民衆意識 |
研究概要 |
本研究の第一段階は、様々な地域や時代を通じて、商業交易に関わる用語をそれぞれの史料のなかから拾い出し、カードに記載して、コンピューターに入力することであった。このため、一次史料のうち欠如したところを補足し、辞典、索引、語彙目録などを収集しながら、そこから「交易」「商人」「外来者」などの言葉をその事例とともに拾いあげることになった。 第二段階にあっては、商人の往来や物資の交流に伴なう生活文化や習俗の変容について、それを現象として拾い出す作業に力点が置かれた。とりわけ、商人や物資を通じてもたらされる情報が当該地域の古来の生活様式や風習の変化にいかなる影響を及ぼしたのか、が焦点となった。 かかる基礎的な個別作業を踏まえて、それぞれの地域や時代について、比較検討することが最終的な課題であった。こうした総合的な討議を重ねるうちに、事例の抽出に際して、それぞれの地域毎の特性すなわち事例の現れ方や史料の残存状況に応じて、交易活動の実態を類別化する必要が痛感された。例えば、古代地中海世界については、多種多様な商人が史料のなかでいかに製造過程と切り離しがたく結びついているかを確認しなければならなかった。また、日本の中世社会については、海賊の存在形態と商人の活躍が密接に結びついており、それらの事例を広範囲に摘出することから、国家支配圏と商業交易圏との重複と差異を認めることができた。さらに、民衆の意識や思想の在り方に注目すれば、各地域における民間信仰や差別観の実態を究明するための素材の新しい切り口を想定することもできるのである。このように総括すれば、商業交易と習俗文化の変容をめぐる歴史的な論理と必然性を探求するための有益な一石は築かれたと言ってもいいであろう。
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