研究課題/領域番号 |
04451083
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研究機関 | 名古屋大学 |
研究代表者 |
山下 宏明 名古屋大学, 文学部 (20023567)
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研究分担者 |
小川 正広 名古屋大学, 文学部, 助教授 (40127064)
神沢 栄三 名古屋大学, 文学部, 教授 (60022365)
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キーワード | 口誦詩 / 比較文学 / 平家琵琶 / 館山甲午 / ロランの歌 / ホメロス / 叙事詩 / 定型句 |
研究概要 |
1992年1月より1993年1月まで、研究協力者による総合科目「物語文学の比較口誦詩論的研究」を開講し、研究協力者は毎回出席して議論を深めた。山下の幸若舞曲の叙法に関する研究には、それからの示唆によるところが多い。叙事詩の形態面に焦点を絞る論になったが、その成果が学生のレポートに明確に見られたのも、講義の成果と言うべきであろう。また宮城教育委員会が保管する故館山甲午氏の平家琵琶演奏の録音を未亡人の許可をえて入手することができた。来年度の講義にこれを活用する予定である。また民族学博物館からの要請により、山下が同館での口誦詩研究会に参加して平家琵琶の特徴について発表し意見交換を行なった。神沢は「ロランの歌」の最古のテクスト0本(11世紀末?)と13世紀ないし14世紀初頭に成立したテクストC及びDの本文を比較検討し、本文伝承を考える場合、普通口誦文学と称されているテクストにおいても口承と書承の両面を考慮すべきこと、そのいずれか一方の視点のみで解釈することの不可能なことを立証した。その成果は上述の講義において活用したし、この論点は山下が提起する平家物語テクストの成り立ちを考えるにも示唆を与える。小川は、口誦叙事詩の重要な特徴が定型句にあることをホメロスの詩について指摘し、この定型句が現代の口誦詩研究において拡張して用いられること、ホメロスの物語文学が後生、ローマ世界にその衣鉢を受けて再生したのがウエルギリウスであり、この間、普遍的な課題を継承しつつ、どのような技法の変容が行なわれたかを検討した。
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