言語変容に関する体系的研究及びその日本語教育への応用

1992 年度 実績報告書

• 研究課題/領域番号: 04451092
• 研究機関: 神田外語大学
• 研究代表者: 徳永 美暁 神田外語大学, 大学院・言語科学研究科, 助教授 (80237073)
• 研究分担者: 山田 洋 神田外語大学, 大学院・言語科学研究科, 助教授 (00118738) ; 中田 清一 青山学院大学, 国際政治学部, 教授 (60146298) ; 大島 一郎 神田外語大, 大学院・言語科学研究科, 教授 (80083228) ; 井上 和子 神田外語大学, 学長 (10052193)
• キーワード: 規則的な発現と変容 / 体系化 / 変容の一般性 / 統語構造と談話の一般原理 / 類型論 / 構造と意味的概念の語用

研究概要

シンポジウムでの発表のための討論会などを通して、多くの学者の意見を聞き、独自の研究を進めてきた。個別的には、以下のようである。
(1).方言話者の標準語化の過程における変容に関する既に収集されていた資料を整理し、体系化を試みると同時に新しい資料を実地調査に基づいて収集している。更に、専門家の意見を聞きながら、文献資料の調査研究を行っている。(主として大島)
(2).統語構造の談話における役割と、統語理論と談話の一般原理との接点の問題を、特にヴォイス(態)、時制、ムード(法)を中心に研究し、新しい言語理論と談話研究の接点を求める分析を進めてきた。小グループの専門家と親交換会なども催してきた。(井上,中田,山田)
(3).類型論関係の研究成果を調査し、変容の一般性について、仮説をたてるベく専門家の意見なども取り入れた研究を続けてきている。(中田、山田)
(4).日本語の構造、意味的概念の語用における規則的な発現と変容についての研究のため資料を収集し、その整理、分析に入りつつある。全般としては、資料の収集と、初歩的段階の分析にとどまった感があるものの、意見交換会を通して、活発な議論を行い、平成五年度に向けて成果をあげることのできるものであった。

研究成果

• [文献書誌] Tokunaga,Misato: "Semantics of the Passive & Causative Suffixes in Japanese." Proceedings of the Third International Symposium on “Pan-Asiatic Lingnistics"Language and Linguistics. 324-338 (1992)
• [文献書誌] Tokunaga,Misato: "Dichotomy in the structures of honorifics in Japanese." Pragmatics. 2 No.2. 127-140 (1992)
• [文献書誌] Tokunaga,Misato: "Integrating Pragmatics and Pedagogy:A Case of the Japanese Passives and Causatives" 神田外語大学言語学研究所紀要第二号. 2. 105-113 (1992)
• [文献書誌] 徳永 美暁: 津田日本語教育センター主催日本シンポジウム『言語理論と日本語教育の相互活性化』. 5. (1992)
• [文献書誌] 中田 清一: "外国語におけるConsciousness Raising" 津田日本語教育センター主催日本語シンポジウム『言語理論と日本語教育の相互活性化』. 5. 63-78 (1992)
• [文献書誌] 中田 清一: "言語研究の成果をどう利用するか" 月刊『言語』. 22. 54-61 (1993)
• [文献書誌] 大島 一郎: "伊豆諸島方言" 『現代日本語方言大辞典』第1巻の中. 1. 132-139 (1992)
• [文献書誌] 井上 和子: "書評S,-Y.Kuroda 日本語の統語論と意味論" 学燈. 10. 62-63 (1992)
• [文献書誌] 井上 和子: "言語研究と日本語教育の接点(出版予定)" 『日本語教育』. 別冊. 30 (1993)
• [文献書誌] 平山 輝男(共著): "現代日本語方言大辞典1巻〜4巻" 明治書院, 3600 (1992)