研究課題/領域番号 |
04451094
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研究機関 | 北海道大学 |
研究代表者 |
田中 利光 北海道大学, 言語文化部, 教授 (80000595)
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研究分担者 |
田中 伸司 北海道大学, 文学部, 助手 (50207099)
千葉 恵 北海道大学, 文学部, 助教授 (30227326)
安西 眞 北海道大学, 文学部, 助教授 (90143320)
田中 亨英 北海道大学, 文学部, 教授 (30008958)
岩田 拓郎 北海道大学, 文学部, 教授 (50000568)
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キーワード | 古典期アテナイ / 名前 / 歴史的ソクラテス / 牧畜(パストラリズム) / 祝勝歌 / 論過 / 対話 / 技術 |
研究概要 |
「古典期アテナイ文化の総合的把握」は多くの研究分野にわたる高度な専門的知識を必要とし、かつ研究会での粘り強い対話と各研究者のきめこまやかな研究成果を俟ってはじめて可能になると言える。そこで、本研究のための恒常的な研究会として「北海道大学西洋古典研究会」を組織し、共同して古典期アテナイの精神史的様相を問い、その総合的把握を試みた。各研究分担者は資料を収集し、分担課題の研究を進めるとともに、研究会において成果を発表し、批判検討を行った。また、学外からも優秀な研究者を招くことができ、研究は順調に進行している。具体的には、【研究会】(1)田中(利)は古典期アテナイの散文におけるエイドスとの関係でのオノマの資格審査という視点から、プラトン『クラチュロス』篇の新たな解釈を行った。(2)安西は祝勝歌の1人称単数についての分析において、合唱隊叙情詩から悲劇を貫く「上演のための文学テクスト」の一つの流れを解明した。(3)千葉は論過の哲学的分析による「論理的思考」の解明の基礎作業として、プシューケー概念に関わる問題をアリストテレス『分析論後書』『デ・アニマ』において扱った。(4)田中(亨)はプラトン『ソクラテスの弁明』において所謂歴史的ソクラテスの問題について新たなアプローチをした。(5)吉武沢純夫氏(日本学術振興会特別研究員)は「不名誉と悲しみと自殺-エウリピデスの『ヘラクレス』をめぐって-」という主題の下、『ヘラクレス』の新たな解釈を提示し、当時の精神史的状況に光を当てた。【講演会】久保正彰氏(東北芸術工科大学学長)を招いた。氏は「前五世紀の人間観-Corpus Hippocraticumから学ぶことのできるもの-」という演題の下、ポリス的人間・ノモスと自然的人間・ピュシスとの理解の接点に、エイドス概念を通じて確立されたテクネー概念において現われる医術を据え、ギリシアの人間観に鋭く切込んで見せた。
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