研究課題/領域番号 |
04451094
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研究種目 |
一般研究(B)
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配分区分 | 補助金 |
研究分野 |
文学一般
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研究機関 | 北海道大学 |
研究代表者 |
田中 利光 北海道大学, 言語文化部, 教授 (80000595)
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研究分担者 |
中澤 務 北海道大学, 文学部, 助手 (10241283)
千葉 恵 北海道大学, 文学部, 助教授 (30227326)
安西 眞 北海道大学, 文学部, 助教授 (90143320)
田中 亨英 北海道大学, 文学部, 教授 (30008958)
岩田 拓郎 北海道大学, 文学部, 教授 (50000568)
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研究期間 (年度) |
1992 – 1993
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キーワード | 古典期アテナイ / 動物供犠 / 名前の正しさ / パルメニデス / ヘシオドス / アリストテレス / 吟唱詩人 / 目的論 |
研究概要 |
「古典期アテナイ文化の総合的把握」という本研究の目的の達成のために、期間内に10回の研究会が開催され、それぞれの研究員の研究が幅広い視点から吟味された。各人の研究の成果として得られた知見は以下のようなものである。 1.アテナイにおいて行われていた「ディーポリエイア祭」における動物供犠は、狩猟社会の時代に起源を持ち、アテナイ人の宗教的な営みにとって重要な意味を持っていたということ。 2.『クラテュロス』における、「名前の正しさ」についてのクラテュロス説は、semantic Cratylism,phonetic Cratylism,faultless Cratylism,name-dependent Cratylism,Heraclitean Cratylismの五つの思想から成り立っており、これらは極端で恣意的なものであるということ。 3.パルメニデスの哲学詩(特に探求論)を理解する鍵がプラトン哲学の中にあるということ。 4.ヘシオドス『神々の系譜』冒頭(1-35)、特にヘリコーンのムーサ達への呼びかけが、ギリシア文学の歴史が、抒情詩的な「私」の認識へと向かう出発点であるということ。 5.アリストテレスの三段論法は、弁論術的推論の理論化の中にその起源を有し、比例論の影響を受けて完壁な理論へと成長していったということ。 6.アリストテレスの自然学における「仮定的必然性」の概念は、物理的必然性と矛盾する概念ではないが、しかし質料と「ロゴス」とは全く別の原理であり、この「ロゴス」が、アリストテレスの自然の目的論を理解する上での鍵概念であるということ。 7.プラトンの詩人批判の理由は、単にプラトン哲学の特殊な文脈に由来するものではなく、むしろ、「思想の伝達」という普遍的な目的との関わりの中で語られており、ソフィストの台頭という、当時のアテナイの思想的状況を反映したものであること。
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