別添の「外貨とは一体何なのか?(1)〜(3・完)」貿易と関税1994(平成6)年4月号〜6月号において示した通り、私は、日本における外貨の取扱において、欧米とは異なる不十分さが多々見られることを指摘し、その改善を強く促した。例えばインターバンクで通貨交換を行なう際に、その通貨は、たとえ円であってもmoneyではなくcommodity(物)だとする論議など、ユーロ市場での国際金融紛争での論議とのインタフェイスを欠くものだし、そもそも円で不法行為請求を常に行なえという明治以来の判例が無批判に維持されていることも批判した。他方、円への換算に関し、そもそも日本には「いかなる通貨で損害賠償をさせるのが妥当か」という"損害通貨"の観点からの検討が全くなく、かつ、いつの時点で円換算すべきかも、極めていい加減な実態を明らかにし、私見を展開した。
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